ばいばい、浩介 ?

木村よし  2007-12-25投稿
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「どうしたの?そんな走って…」


「お前に、まだ言ってないこと、あったから」


そう言って、浩介はゆっくりと頭を上げた。
二人の視線が、絡まる。


「好きだ」


何限目かのチャイムが、静かに響いた。


「お前のこと、ずっと好きだった」


長い影がゆらりと動く。


「浩…」


「あ、返事はさ、また今度でいいから」


言いながら、浩介は恥ずかしそうに頭を掻いた。


「じゃ、またな」


最後に浩介は、いつもみたいに明るく笑って。


ゆっくりと、校舎の方へと歩き出した。


夕日の色に染まるその背中が、段々と小さくなっていく。


涙が、知らない間に溢れていて。


瞬きするたびに、ボロボロと止まらなくて。

ねえ、浩介。


もう、次なんて無いかもしれないんだよ?


なのに。


それなのに。


「こうすけー!」


私の大きな声が、乾いた空気によく響いた。


ずっと遠くにある浩介の背中がビクってなって、こちらに振り返る。


「私もー、ずうっと浩介のことー、好きだったよー!」


また、きっと会える。

いつになるかは分からないけど。


でも、きっとまた会える。


そう、信じてみるから。


私、頑張るから。


「浩介ー!」


だけどそれまでは。


「ばいばーい!」



私はそう言って、笑顔で大きく手を降った。


おわり☆

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