〜訂正とお詫び〜
第14話の中の智也と奈央の会話の中で『孫にも衣装』と言う言葉が出て来ますが、正しくは『馬子にも衣装』です。間違えてしまってゴメンナサイ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜奈央と出会えたから。?
『冗談キツイよ木下さん。』
頭を掻きながら俺は言った。
『‥奈央でいいよ。』
テーブルの上を片付けていた彼女が一瞬手を止め、にっこり笑ってそう言った。
『じゃあ、俺の事呼ぶ時は智也でいいよ。』
俺はちょっと照れくさかったから、わざと平静を装った。
時計を見るともう5時を回っていたー。
『俺もうそろそろ帰らないと‥。明日は面接だしさ。』
奈央と13時に駅で待ち合わせをしてから、既に4時間が経過していたー。
奈央と話していると、凄く楽しくて、嬉しくてー。
俺は時間が経つのをすっかり忘れていたー。
『そうだよね。智くん明日は面接だもん‥。あまり遅くなって寝坊したら大変だよね。』
そう言って奈央は笑った。
『奈央‥。ハハ‥。なんか名前で呼ぶの照れ臭いな。今日はありがとう。買い物に付き合ってもらったり、手料理まで作ってもらってさ。』
こう言った俺は少し顔が赤かったかもしれない‥。
『とんでもないです。あたしの方が智くんに御礼がしたかったんだから。』
そう言って奈央は俺の隣に座った。
『奈央‥???』
隣に座った奈央は、両手で俺の腕にしがみつき、耳元で囁いたーー。
『‥‥抱いて‥。』
俺は耳を疑ったー。
奈央と知り合ったのは、つい昨日の事ーー。
まだ知り合って一日しか経っていないのに、奈央の口からそんな言葉が発せられるとは思ってもいなかったーー。
俺の中の奈央の清純なイメージが一気に崩れ去った瞬間だったーー。
それは俺の勝手な思い込みに過ぎなかったのかーー。
『‥奈央‥‥。ち、ちょっと待っ‥‥。』
奈央は俺の腕にしっかりとしがみつき、顔を胸の中に埋めて来た‥。
『‥お願い‥‥。』
奈央が俺の耳元で囁く‥。
香水の、仄かに甘い匂いがしたーー。
奈央が顔を上げて俺の顔を覗き込む‥。
大きな黒目がちの瞳で俺の顔をじ〜っと見つめる。
止めてくれ、そんな目で俺を見ないでくれ。
そんな目で見られると‥。
見られると‥‥。