彼、本田 千広、26歳。ポジションはショート。
ぱっちり二重とキリッとした眉。高くも低くもない鼻、薄い唇、笑うと零れる白い歯、シャープな輪郭、浅黒い肌。
身長は181?、細身の筋肉質で、彼の存在自体があたしの好み。声も雰囲気も仕草もなにもかも…。
『大丈夫?』
彼、が涙を零してしまったあたしに声をかけてくれた。
『あ、ごめんなさい。大丈夫です…』
…失態だよ、こりゃ…。穴があったら入りたい!
『ごめん、俺、今から試合やし、行かなアカンから、ごめんな』
そう言って、彼、は愛車の赤いBMWに乗り、寮を後にした。
…助手席に乗りたい!!
そう強く願いながら、彼、の愛車を見送るのが精一杯だった、あたし、関口 遥でした。