ヒロイン症候群。
悲劇のヒロインになりたがるMぽい人。
帰りの電車の中で頭に浮かんだ。
わたし?
わたしがそうなの?
冷たくされたら、気になる。
べたべたに惚れられるとひいてしまう。
そうかも…
自問自答しながら、電車の窓にうつる自分を見た。
けして美人じゃない。スタイルもよくない。どこに惚れてくれたのかわからない。
愛してる。
ドキッ!
たつやの言葉を思い出した。
なぜ…
こんなおばさんより素敵な人は、東京にたくさんいる。
わからない。
遊ばれてる?
悩みながら帰宅した。
夕食の支度をしていると、主人が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「ただいま。」
いつもとかわらない日常。
夕食をすませ、お風呂に入っていると、いきなり主人が入ってきた。
「なに?!どうしたの?」
驚く私に、
「たまにはいいかな」
どうやら、夜の伺いのようだ。
拒む理由もない。かえってあやしまれる。
その夜、ほんとうにひさしぶりに夫婦の夜を迎えた。