キャッチボール

さすらいの小説家  2006-04-05投稿
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「お疲れさん。」練習を終えみんなが帰ったあとにマネージャーの花崎玲花が声をかけてきた。「おう。」僕は気の抜けた様子で返事をした。
「どうしたの?元気ないじゃん。」
「ここまできて言うのも変だけど、俺、野球やってきた意味あったのかな。」
「何かあったの?」
「…。」
「黙ってちゃわからないよ。私は悟といるのが長いけど困るとすぐに黙る癖はやめたほうがいいと思うよ。」「…、なぁ、今のエース、宮館どう思う。」
「宮館君?いいピッチャーだと思うけど。」
「それだけか?」
「何が言いたいの?」
「おまえ宮館に気があるんじゃないのか。」
「何を言いだすかと思えばよくもそんなくだらないことを。彼は野球部員としか見てないわよ。」
「そうか…。」
「悟?なんか変よ。」
「そうだよな、宮館はプロ注目の左腕で顔は格好いいし、頭もいい。人気あるわけだよな。そんなやつを相手に片腕しかない俺が勝てるわけねぇよな。」
「…。」
僕の中にたまった欝憤をまるで玲花に吐き出すような言い草で僕は言った。だが玲花は何も言わなかった。「じゃあ俺帰るわ。じゃな。」

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