ドアの向こうにいたのは
――谷澤くんだった…
マンガのような展開になるはずないのに…
そう思いながらも、
松田くんじゃなかったことに少なからずがっかりしていた。
けれど、
谷澤くんが無言で図書室に入ってくると、
そんなことで落胆してもいられなくなった。
谷澤くんは助けにきてくれたの?
それともこの人の仲間?
そんな考えを巡らせている中、彼はおもむろに近づいてきた。
そして、、突然、男に飛び掛かる。
―――!?
相手も驚いて私を放して身構えるが、
―――ガッ!…ドスンッ!
間に合わず殴られて吹っ飛んだ。
「て、てめぇ……」
殴られた男は起き上がりながら言ったが、
谷澤くんは男を一目見やるとすぐに私に向き直った。
「大丈夫?怪我はない?」
そう言って、手を差し伸べると、安心させるように笑顔を浮かべた。
私も安堵から、彼の笑顔につられ、ぎこちない笑みを浮かべていた。
そして、戸惑いながらも、彼の手をとると、立ち上がる。
逆上した男がかかってくるかもしれないと、身構えたが、
いつの間にかあの男は消えていた。
静かな図書室に彼と私の二人きりだった。
「俺がこんなとこで約束してなければ、
君にあんな恐い思いをさせなかったのに…」
そう言って悔やんでる彼を見ていると、私は居たたまれなくなった。
「恐い思いしたけど、谷澤くんのせいじゃないよ…
むしろ、助けてくれてありがとう」
彼を慰めるように私が言うと、彼は少しだけ笑顔を見せた。
「…今日、君に告白しようと思ってたけど、こんなことになって…」
彼の告白は、少しだけ予想してたけど、やはり意外だった。