【東健康センター1塁側ベンチ】
シートノックが終わるとまた俺達はベンチ前に集合した。
今井『いいかぁ。相手は言うまでもなく県内トップの実力だ。自分のプレーをしっかりやることはもちろんだが、相手のいい所盗めるように頑張れよ!』
全員『へ〜い!』
曾我端『去年の県大会優勝メンバーに入ってたのは4人いる。エースの川浦、クリーンナップの近藤、石堂、雪村だ。今日は特にこの4人を徹底マークしろ!いいな!』
全員『へ〜い!!』
しばらくすると、天豪三中もアップが終わり、シートノックに入った。
さすが県最強チームだけあり、守備がまとまりすぎていて誰がレギュラーなのかわからない。
すると、アキが
アキ『おい!ブルペン見てみろよ!あれが県最強投手かぁ…』
ブルペンではやや身長の低めのサウスポーが投げ込んでいた。
隣りでは天堂寺、不破の藤城バッテリーが投げ込んでいる。
タク『あれだったら天堂寺の方が全然速いな…』
確かに、天豪三のエースの球はうちのエース、天堂寺の球より全然遅かった。
キョウスケ『なぁんだ。イケそうじゃん♪』
俺達は相手エースが大したことないことに安心した。
……それがエースではないことも知らずに。
またしばらくすると、天豪三中のシートノックも終わり、両チームの主将が先攻、後攻を決めるジャンケンをした。
リュウヤ『あっちのキャプテンも捕手か…なんかゴリより頭良さそうだな…』
ケイタ『眼鏡のキャッチャーなんていかにもって感じだし〜』
ジャンケンが終わりカズマがベンチに帰ってきた。
カズマが『先攻!!』と叫んだ。
全員が
『へーい!』と応えた。
ベンチに帰ってくるなりカズマが冷静に
『相手、エースじゃないよ』
とサラッと言った。
ベンチが少しどよめいた。
そうこうすると、審判が集まり、両チームホームベース前に集合した。
遂に地区3位藤城中と県1位天豪三中との試合が始まる。
両チーム『お願いしゃ〜っす!!!』