翌日、マリアは又もや海上に来ていた。
いつもの様にサイファが姿を現わすのを待ち焦がれる。
だが、今日は一つ決心をして来たのだ。
彼に姿を見せよう、と。
ただ上半身だけ。
それなら人魚とばれずに済む、
そう思ったのだ。
やがて、いつもと同じ位の時間に彼がやって来た。
マリアは思い切って視界に映る様、体(上半身)を覗かせた。
「…君っ…!」
サイファは目を大きく見開いて呼び掛ける。
マリアは少し頬を赤らめて顔を上げた。
「良かった…。君に、もう一度逢いたいと思っていた」
サイファは嬉しそうな顔をマリアに向ける。
「名前を、…教えてはくれないか?」
サイファの問い掛けに、少し間を置いて答える。
「マリア…あっ!」
ビュウ!!
突然強い風が吹いて、マリアの髪飾りが飛んだ。
それはちょうどサイファの足元に落ち、彼が拾い上げる。
「こちらへ来て欲しい」
直してあげようと思ったサイファは呼び掛けたが、マリアは首を横に振った。
「では、こちらから…」
マリアが顔を上げると目の前の彼が服のままこちらに向かって来ていた。
「だ、ダメです!貴方の服が濡れてしまいます!!」