【1回表1死1塁】
打席には滝本龍夜。
スイッチヒッターのリュウヤは右打席に入った。
ケイタ『頼むぞ!リュウヤぁ〜!!』
アキ『変化球狙ってこ〜!!』
一塁ベンチからは次々と声がとぶ。
注目の初球。
バン!!
リュウヤのバットが止まった。
主審『ボール!』
真ん中低めの変化球をリュウヤが見逃した。
続く2球目。
カキーン!!
主審『ファール!!』
外の変化球を右方向へ流し打ったが、打球は切れた。
カズマ『変化球多いよ!絞ってこう!』
確かに相手投手の矢沢は変化球を多投していた。
それを知ってか知らずかリュウヤは……
3球目に…
カキーン!!
今度は内角低めに落ちるカーブをレフトに引っ張った。
打球は………
レフトライン際に落ち、相手レフト市川がこれを拾った。
ケイタ『やったぜぃ!ナイバッティン!!』
これで1ナウト1、2塁。
俺は続く打席に立つタクに
『タク!チャンスだぞ!頼むぜ!』
と叫んだ。
タクがゆっくりと打席に入った。
雪村『矢沢!切り替えろ〜!次4番だぞ!』
矢沢『はい!』
雪村の声にマウンドの矢沢が応えた。
天豪三の内野からも次々声がとぶ。
辻村『矢沢〜!ゲッツーとるぞ〜!』
八木沼『ショートに打たせろ!ゲッツーだ!』
雪村『1ナウトランナー1、2塁!内野ゲッツー!外野バックホーム!!』
捕手雪村の声にナインが応えた。
『へーい!!』
曾我端『さ、早めに相手エースを引っ張り出せるかみものだな。4番の勝負強さ見せてもらおうか…』
曾我端さんが呟いた。
2年生投手、矢沢対藤城中4番、村上。
初回のチャンスに1塁側の藤城ベンチが息を飲んでこれを見守った。