奈央と出会えたから。<21>

麻呂  2007-12-27投稿
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『い、い、い、いやあああああーー。』

奈央は絶叫していた。


両手で自分の頭を押さえつけ、小さな体を丸めながら震えているー。



俺は、今此処にいる奈央に一体何が起こったのか理解出来ず、ただ呆然と立ち尽くしているだけだったー。



奈央は何かに怯えている様だった。



得体の知れない何かにー。



ソレが一体何なのか、俺には知る由もなかったー。



『奈央‥大丈夫だよ‥。何も怖がらなくていいから‥。』



俺はそう言って、小さくうずくまっている奈央を後ろから抱き締めた。

そうせずにはいられなかった。



‥コクン‥‥。



奈央が頷いた。



奈央は、まだガタガタ震えていた。



後ろから抱き締めている俺にはそれが良く分かったー。



俺はしばらく奈央を抱き締めていたー。


こんな小さな体でガタガタ震えている奈央に、俺はこうして抱き締める事しか出来なかったー。



何分こうして居ただろうか‥‥‥。



次第に奈央の震えが小さくなっていくのが分かったー。



『奈央ごめん‥。俺がいきなりキスしたから‥‥。‥びっくりしたんだね‥。』


『違う‥。違うの。智くん‥。』



奈央は、すっかり落ち着きを取り戻していた。



『ごめん。本当にごめん‥。』



俺は、奈央にただ謝るしかなかった。



『だから‥違うんだってば‥智くん!!』



少し声のトーンを上げて奈央が言った。


『何が違うの?他にどんな理由があるの?』



俺は、ちょっとひねくれた言い方になってしまったかも知れない。



なんだか段々悲しくなって来た‥。



自分が奈央に無理矢理キスしたから‥。


だから奈央が俺を拒絶したのかと思ったからー。





『あたしには誰にも言えない過去があるの。』



奈央は凛とした眼差しで俺を正面から見据えながら、そう言ったーー。



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