「異質ってさ、指先からビームを出せたり電気を操れるとかそういうことできたりすんの?」
陸が珍しく子供っぽいことを言ったのがおかしかったのか赤松は鼻で笑った。
「お前テレビの見すぎだよ。まぁそれでも血液の凝固が異常に早かったり皮膚が通常より固かったり、専門家からすれば現実離れし過ぎてる実例ばかりだけどな。異質というより人類の最も進化した形態、新人類だという学者もいる」
真琴は陸と赤松の話をつまらなそうに聞いている。
「どっちでもいいですそんなの、その人がいなくてもあたし1人で十分です」
真琴はそう言うと冷たい目で陸を睨んだ。
陸もそれに気づき睨み返した。
「お前、今まで彼氏とかいたことないだろ?」
「…はぁ!!!?」
今までクールを装っていた真琴が初めて動揺した。
「男ってのはガキで単純だからさぁ、妻のほうが給料が良いとか彼女のほうが頭が良いとか。そういうことは心のどこかで気に食わないと思ってんだよ。単純なだけに『頭が良い』とか『力が強い』とかそういう単純な力に妙にこだわってんの、俺が言いたいこと分かる?」
真琴は今にも食ってかかりそうな険しい表情になった。
「まぁまぁ…!落ち着け真琴!つまり陸が言ったことは悪口じゃないってことだ…!な!?」
赤松は必死で真琴をなだめた。
「ん〜?なんていうか…俺が言いたいのは戦争が無くならないのは男のそういう単純さが原因だと思うなぁ〜…って、そういうこと?かな」
それを聞いた赤松は『こいつは何を言っているんだ?』と呆気に取られた様子で、真琴のほうはというと肩すかしを食らった感じで同じく呆気に取られている様子だった。
つまり陸は『頭も良くて運動もできるアルーフ女じゃ男も敬遠するだろう』という嫌みを遠回しに言ったためうまく伝わっていなかった。
陸は言いたいことを言い満足してその場を立ち去ろうとした。
だがその時だった。
またあたりが騒がしくなる。
「またテロか?」
赤松は1人の職員を捕まえて質問した。
「はい…!爆弾を持った10代後半から20代前半くらいの男がセントラルタワーに立てこもってるという連絡が!」
赤松は職員を離すと陸を呼び止めた。
「陸!初任務だ!俺と真琴と3人で行く!」