「神様…どうかこの弱く小さな僕にほんの少しだけ……この小さなスイッチを押すためだけ…ただそれだけでいいので…ほんの少しだけ勇気と力をください…」
いかにも優しそうなその青年は小さく体を震わせながら爆弾のスイッチを握りしめた。
「来たぞ!STOCだ!」
野次馬の男が叫んだ。
陸達は現場に到着すると急いでタワーの中に入っていった。
「何階だ!?」
赤松が叫んだ。
「25階です!」
真琴が赤松の問いに答える。
3人は一気に25階まで駆け上がると『関係者以外立ち入り禁止!』と書かれたドアを開けた。
その部屋には体を小刻みに震わせる気の弱そうな男が立っていた。
手には明らかに爆弾を作動させるためのものと思われるスイッチが握りしめられていた。
「スイッチを離しなさい」
真琴は何のためらいもなく銃口を男に向けた。
男はそれを見て更に震えだした。
「待てよ。話くらい聞いてやったらどうだ?」
陸は真琴の向ける銃口を男からそらすと男に近づいた。
「そこから離れてください!」
真琴は思わず叫んだ。
だが陸が離れる様子はない。
それを見ていた赤松は何も言わず真琴の銃を下げさせた。
陸は男に近づくと話始めた。
「なぁ、話をしよう。あんた何でこんなことをやろうと思ったんだ?」
しばらく沈黙が続く。
陸の問いに少し戸惑いながらも男は話始めた。
「…ぼ、僕達は…悪くない…!悪いのは、日本人だ…!」
「どうして?」
陸は冷静に返した。
「…に、日本人は…僕達の国を…僕達の国を…消したんだ!…まるで…アリを踏み潰すように…潰したことにさえ気づいてないんだ!…確かにすごく小さな国だったけど…でも…あまりにもひどい…」
それを聞いた赤松の顔色が急に変わった。