バスの終点。駅。その駅に、降りた。降りた途端、見えた。あの人が・・・。あの彼が・・・。私は、すぐさま追いかけた。今日こそ、話しかけたい。名前を知りたい。
なんて名前?
どこに住んでるの?
どこの学校?
質問したい事は、山ほどあった。山ほどあったのに・・・。
あれから、5年ぐらいだろうか?たぶん、そんなに経ってないと思うけど私にとってはそんな感じ。あの彼は・・・あれから・・・。
あのとき、私は、彼を追いかけた。彼は、信号を渡ろうとしていた。赤に、変わっていた。彼は、渡り終えていた。私は、赤になっているのも気づかずに、渡ってしまった。その結果・・・。
彼は、私を助けた。血まみれになっていた。最後に聞いたのは、「さよなら」・・・。たった、それだけの言葉が聞けて、嬉しくも悲しかった。とても・・・。とても・・・。
バスの終点は、私の恋の終点。
彼の終点は、あのバスだ。
―――――――――そして、花びらが散る。
終点