LASTSUMMER#36 『初回のピンチ』

SETTARMEN  2007-12-29投稿
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【1回裏1死3塁】


相手のバント攻撃、俺のカバーミスがあって俺達藤城中は初回からピンチを作った…


打席には3番の近藤。


俺達内野陣は前進守備をせず、アウト1つ確実にとる方法を選択した。



右打席に入った近藤。



右肘を大きくあけるいかにも強打者といわんばかりの構えだ。



天堂寺がゆっくり振りかぶり、近藤に対しての1球目を放った。



ビュン!



カキーン!!



初球から思い切りよく振り抜いた打球は、センターに素早くライナーで飛んでいった。



打球はセンター、アキの手前でワンバウンドし、冴木がゆっくりとホームベースを踏んだ…



天堂寺のストレートを簡単に打ち返すとは…



これで2対1。近藤のタイムリーで一点差になってしまった…



カズマ『ドンマイ?!次、内野ゲッツーいくぞ!』



失点したチームを捕手カズマが再度鼓舞した。



その声に俺を含む野手全員が『おう!』と声を出して応えた。



しかしながら、なおも1ナウト1塁となって打席には4番石堂を迎える。



4番の石堂。彼には強打者の風格が漂っていた。


そのがっしりとした体型。


相手投手を睨み付ける眼光。



雰囲気だけで強打者とわかるオーラを彼は持っていた。



また打席に入ると、ゆっくり2度3度クルクルとバットを回し、ゆったりとした神主打法で構えた。



その気迫を感じながらも天堂寺は石堂に対して第1球目を放った。



ズバッ!!



主審『ボール!!』



さすがに力がこもったのか、天堂寺のストレートは高めに浮いてしまった…



続く2球目も1球目と同じようなコースに外れ、カウント0-2となった。



0-2でバッテリーが選択したのは内角への『カーブ』



天堂寺が頷き、セットから石堂に対して3球目を放る。




ビュン!!




次の瞬間!!!



カキ→→→→→ン!!!



信じられない打球が左中間に上がったのだった…。



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