リングからは降りない

フィニート  2007-12-29投稿
閲覧数[548] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「ボックス、ストップ」
レフリーの声とともに僕の3度目の負けが決定した。

僕の名前は坂本竜貴、W大学の2年生でボクシング部に所属している。戦績は3戦0勝3敗だ。

アマチュアボクシングを始めて1年と半年。今だ勝ち星に恵まれない。

今日こそは、と思っていたが現実はそんなに甘くなかった。

「竜貴〜惜しかったな。判定ならいけると思ったんだけど、ストップ早すぎだよあのレフリー。」

そう僕は3RにスタンディングダウンをとられそのままRSC(レフリーストップコンテスト)負けをしたのだ。

声をかけてくれた友達には悪いがてきとうに話を済ませ僕は帰路についた。

自分にボクシングは向いてない。もうやめようかな。家に着くまでそんなことばかりを考えていた。

家にいても憂鬱な気分は少しも晴れない。こんな時はさっさと寝るに限ると思い布団にくるまった。

しかし眠れない。眠れるはずがない。夜の闇が濃くなればなるほど悔しさが込み上げ涙が頬をつたう。

もっと練習しよう。次は負けないように誰よりも練習しよう。

自分で答を出した時、憂鬱はもう晴れていた。

早朝6時、冷たい空気を吸いながら僕は走る。

もう僕は立ち止まらない。


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 フィニート 」さんの小説

もっと見る

スポーツの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ