奈央と出会えたから。<24>

麻呂  2007-12-29投稿
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それに、あたしがこの『父親』に懐かないと、母にも悪いと思ったから。



母が好きになった人なのだから、きっと良い人なのだ。



今日からこの『父親』の事を『お父さん』て呼んでみよう。


あたしはその日、
この『父親』の事を初めて『お父さん』て呼んだの。



『やぁ‥奈央。初めて僕の事をお父さんて呼んでくれたね。僕はとても嬉しいよ。』



『父親』は目に涙を浮かべて喜んだ。



今思えば、あの涙はこの『父親』の迫真の演技に過ぎなかったんだけどね。



でもその時のあたしには、この『父親
』の涙が嘘の涙だとは思えなかった。



この涙は本物の涙だと信じていたからー。




小学校五年生になると、あたしは初潮を迎えたー。



『あら、奈央おめでとう。今夜は御赤飯炊かないとね。』



胸も膨らみ始め、あたしの体は少女から大人の女性へと成長して行こうとしていたー。




その頃からだー。




『父親』のあたしを見る目が変わったのは。



何故かいつも視線を感じる様になった。


上から舐める様に見る『父親』の視線ー。



まさか‥。



これはあたしの考えすぎ‥。



気のせいなんだ‥。


あたしはいつも自分に言い聞かせていたんだー。



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