私のイニシャルはこともあろうか、KYだった。社会で“空気読めない”と略語で使われていようが、こちらは生まれてきてからずっと「KY」であったため学校の全生徒持っているカーディガンの襟元に、極太マッキーでこれでもか!と言うほどでかくKYと書いた。
しかしある日、友達のカーディガンがなくなりクラスは皆自分のと間違えていないか、どこかにまぎれていないかと大騒ぎ。私も自分のものを確認しようとしたがどこにもない。しかし私は家に持ち帰ることはないし、でかでかとイニシャルを書いてあるので皆が間違えるわけがない。クラスが大捜査しているなか、トイレに行くなどして昼休みを有意義に過ごしていた。
が、トイレから帰るなりクラス友達がカーディガンを持って騒いでいる。「あった!!これちゃう!?これ!空いてるロッカーに入ってた!」騒がれながら高々と持ち上げられたカーディガンに見えるのは見覚えのあるマッキーの跡。
結局私のだった。即効私のだとばれ、「まじでKYやな!」と、嬉しそうにわざわざ言ってくる友達の顔は“うまいこと言ってやった”とわけのわからん自信に満ちており、そこから私のカーディガンはKYカーディガンと呼ばれるようになった。
その後、私もカーディガンをどこにやったのかわからなくなり…
「KY…て書いたカーディガン知らん?」と聞き大恥じをかいたことを、略語として考えた人は知るよしもない。