リフェード 〜その名は白騎士〜

サス  2007-12-30投稿
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『……撃ち抜く!!』
一つ、薔薇の花弁を手で粉々にしたように手前からはボタボタと。

また一つ、その対から湯が沸いたような濛々と赤い湯気が吹き出すように。

爬虫類のような表皮は鉄のように堅く、蛇のような尾も力無く垂れ、亡者と化す寸前には苦しみからか、鴉のような漆黒の翼を忙しなくはためかせていたが、惰性が無くなるようにゆっくりと止まった。両翼を伸ばせば7mはくだらないその体躯。

それを簡単に突っ伏した月明かりに浮かび上がる一つの人影。月の淡い光に神々しく艶やかに輝くその出で立ち。

それは白銀の鎧を纏った『白騎士のロウ』だった。手には細長い円錐の形をしたランスと呼ばれる槍。

ランスは突くことだけしかできない武器ではあるが、魔物を巧みに貫くその姿はまさにクーフーリンのよう。クーフーリンが投擲さえしなければ数秒間にランスを百に近い数を打ち込むロウの姿は彼その者では、と錯覚してしまうほど。槍手の神を彷彿させるその突きで魔物を赤子同然にあしらう。


彼は大空を駆る魔物へと、白い軌跡を残し暴風と化し邁進。

『パイル・バンカァアッ!!』


一撃。

その突進力を生かし、体全体を捻るように大きく反らし引き裂くように貫いた。

その一撃は爆風を誘発し、魔物の表皮は愚か下顎を容易く砕き、頭蓋骨までも紙をナイフで突き刺すように軽々と。頭蓋骨の中身は言うまでもなく、飛沫は桜吹雪の如く舞う。

『もう少し骨のある奴はいないのか』

その独特の低い声に女性なら簡単に惹かれてしまうだろう。もう魔物は赤い水たまりを作る事に役目を果たすのみ。

『はしゃぎやがって。俺の分がなくなってやがる』


遅れてきては、颯爽と1.5mはある大剣をだらしなく背に構える、腰まである赤茶の長髪と金の瞳の強面の男性。

『悪いなフレンデル。いや、戦場ではファフニールと呼ぶべきか』

ランスにどっぺりと付いた液体を払う。

『もうここは墓になっちまったがな。』

一つ鼻で笑う。

『あんたが出てくるまでも無いって事だ。《背徳の竜人》さんよ』

嫌みったらしく自分より遥かに強い彼に皮肉を言う。

『会って早々それか?まったく…

……ヘビィだぜ』

   完

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