「ただいま。」 いつも通りにパートと小学校からそれぞれ帰っていた妻と息子が待つ家に男は帰ってきた。
「実は会社を辞めてきた。」
「え〜っ!」夕食時、茶碗を落とさんばかりに妻と息子は驚かされた。
「明日からウチ、とんかつ屋だから。」
「ええ〜!!」
今度は茶碗を落とした。
なんだかわからないまま次の日なった。
妻がパートから帰ってくるころには、自宅はほぼとんかつ屋に改装されていた。
飲食店の中古設備をそのまま移植したらしい。なんという手回しのいいことだろう。
こんな一大事を黙っていたのはなぜか。
「納得いかない!あなたちゃんと説明して!」
男は一応、説明し始めたんだが、、内容はというと
「面白いんだけどきわどい事ってあるじゃない。」
「?」
「ほら、ネットやなんかで、きわどいところ攻めてさ、通報されて削除され、、とかさ、、」
「?なんなの??なにが言、、」「ただいま!」
例え話ばかりで要領を得ず、いらだってきたところになぜか子供が割ってはいってきた。
「母さん、終わったことはもういいってことだよ。これから、これから!」
「こいつ、、わかってきたじゃねーか。それより見ろ!この看板を!」
とんかつコブラ
なんだソリャ\r
「なんであろうがコブラっつやぁカッコいいの!男のロマンなの!」
男のテンションが急にあがった
のを見て妻子は何も言えなくなった、、、
「コ、コワッ!」「逆らわないほうがいいわね!」
とんかつ屋は失敗した。原因は無論、店名、、
「しっかしなんで客、来ないかなー?」
「あたりめぇじゃん」「私もうホントついてけ無い」
妻子は怖いので小声で正論を述べた。
「あっそうだ!明日からこの店クワカツ屋にしよっと!」
なんだソリャ?
「実はもう試しに揚げちゃったんだもんねー」
息子が大切に飼っていたクワガタがカラッと揚げられていた。
「きゃー!」「わおー!なにすんだバカー!」
クワカツコブラ
もはやなんだかわからんが、次に男が何を揚げるのかは誰にも解らない、、、
おわり