私はあまり気にも留めず、皆の方へ駆けて行った。
奥の部屋・・まぁリビングは、ダンボールが山積みにされていて、
一歩踏み出すのも難しい状態だった。
「あぁ!!蓮!やっと来た!お前遅い!」
鼻の穴にティッシュを詰めた情けないお兄ちゃんが言う。
私は心の中でクスクス笑っていたが、顔には出さない。
お母さんがダンボールのテープを剥がしながら、
「あっ、蓮。蓮はお兄ちゃんと一緒に食器片付けといて!」
子供にそんなんやらせるか普通。(-_-;;)
お兄ちゃんはノリノリでダンボール箱に張り付いたテープを
ベリベリ剥がしている。
私は食器棚のほうを見た。これは、元々付いてくるらしい。
だから誰のものでもない。
「おい蓮!!」
お兄ちゃんが大声で呼ぶ。
「何ィ〜?」
私がめんどくさそうに、ガムテープを剥がし終え、
ピラピラ見せ付ける兄を瞳に映す。
「綺麗に剥がせた!!」
「お前マジで高校生?」
本気で聞いてみた。
「うん。」
なんだその冷め切った答えは…。私は高校生(?)の兄を見て呆れた。
けれどこれが兄なんだから仕方ない…
脳細胞まで兄妹同じだったらどうしようと考える。
「いいから、蓮!さっさと食器片付けるぞッ」
食器片付けるだけでどう考えても張り切りすぎだ。
けれど、見てて飽きない。
「ハイハイ。」
私は比較的割れやすい、ガラスの製品を片付ける。
お兄ちゃんに任せると危なっかしいし。
お兄ちゃんにも通じたのだろうか。
手に持っているのは割れにくいプラスチック製品等。
私が食器棚を開けて、コップを4つ、中に入れようとした時、
変な紙切れのような物を奥の方から発見した。
お兄ちゃんはひたすら上のほうの棚に物を詰め込んでいる。
「何コレ。」
「へ?なんかあったのか?」
食器を調理台に置き、紙切れを取り出す。お兄ちゃんも顔を寄せてくる。
その紙切れにはこう書かれていた。
--- っびvzbdwgqvs 9¥dh ---
「何?英語・・・じゃないねぇ。」
「ってか、何でんなトコ入ってたんだ?」
「さぁ…前住んでた人が置いていったんじゃない?」
「カモな。・・!分かった!」
「えっ!本当?」
「これは暗号だ!!」
「・・暗号?」
〜続〜