あいつ…
その場で声をかけはしなかった。と言うより出来なかったのだ。
「黒崎君ってダンスに興味あるのかな?ピアノ一筋っていうイメージがあったけど…」
優奈には、恵くんのこともストリートダンスのことも、黒崎のことも、言っていなかった。すごく不思議そうな顔で見ていた。
「黒崎…」
私は、黒崎のことが気になって仕方がなかった。ピアノ一筋なところも、もちろん憧れる。だけど、ダンスが好きということに、それ以上の親近感を覚えていた。
そして、私はストリートダンスのいつもの場所に立ち寄った。
「やっほ☆七瀬ちゃーん☆」
「こんにちは♪今日は最後のまとめに来ました!」
「明日だもんね〜!ホント、頑張れ♪」
「はいっ!がんばりますねっ☆」
それから私はダンスの最終確認をすませて、後にした。
別れ際に恵くんが、
「明日、俺も応援に行くよ〜がんばれよっ」
「はいっ、ありがとうございます!」
明日はがんばほう!