玄関があいて、さっき出かけたおばはんが帰ってきた。俺も光子もこの家の娘も、一斉におばはんをみた。おばはんは、さっきの光子のように仁王立ちになり、俺をみるなり、顔色が変わった。娘の所へドスドスと近寄ると大声でわめきたて、俺を外に出すように言っているらしい。
光子はかわいいが、怖い。食事付きの家は欲しいが、おばはんは、怖い。
俺も光子も娘も固まっている。
少しの沈黙の後、おばはんは、俺を抱き上げた。
玄関迄いくと、抱き上げた俺をしげしげと見つめた。俺は緊張したまま、上目遣いでおばはんを見た。
おばはんも俺をみた。
数分間沈黙のまま、見つめあった。俺の肉球は汗ばんだ…
おばはんは、急ににっこり笑うと、そのまま娘に、
「この子、かわいいねぇ〜」といい、俺を外にはださず、娘と俺を飼う相談をはじめた。
びっくりだ。どうなっちゃったんだ?きょとんとしている俺を光子は毛繕いしながら、目線は俺から外す事はなかった。