ティシュと商人の街?

朝顔  2008-01-01投稿
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それというのも島の自然を守る為だった。
この島に季節は夏しかない。年中暑い日差しと青々とした木々が生い茂り、その草花のほとんどがこの島でしかとれない貴重な資源だ。
その為、島の約3分の2は保護区域になっている。土地を売ってしまうと後々権利者の間でもめ事が起こるのを予測してこの規律が生まれた。
「そんなぁ……」
うなだれるティシュを哀れに思うも、どうしてやる事も出来ず黙り込んだ。
商いをするには市長の許可が必要だった。
許可を取る条件はそれ程厳しくはないが、島に相応しいかどうかの審査がある。まだ幼いティシュがここで商売するには難しいものがあった。
「どうしてもここで店を出したかったのに……」
こぼれそうになった涙を拭う姿を見て、ブランディは決意した。
「わかった。家においで」
「え……?」
それにいち早く反応したのはスコットだった。
「兄貴、勝手に決めんなよ!俺だってこの家の人間だから人選する権利はあるはずだ!」
「スコット。友達が出来たと思え」
「だ、誰がこんな奴と!俺は絶対認めないかんな!」
いくら反抗しても引く気のない兄の目に、スコットは押し黙り二階へ駆け上がって行ってしまった。
「その代わりと言ってはなんだが、弟が盗んだお金を生活費にあてさせて貰う。店を出す案が出るまで家に住んでくれて構わない」
お金が返ってきた所でこの街に住むのさえ難しかった。それを思えば有り難い話だ。
「わかった……でも、本当にいいの?」
心配するティシュにブランディは笑顔を向けた。
「うちも親はいないから、家族が増えて嬉しいよ」
その言葉にようやくティシュは前向きになれた。

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