『止まった時間』
もう半年がたった。
今だ誠人の意識は戻らなかった。
日に日に大きくなっていく梨奈のお腹はもう足をバタバタ蹴ったりするようになっていた。
その半年間いろんな事があった。
あの時ラジオで流れた音はCDになり街で流れ出した。
お腹の赤ちゃんにもクラシックではなく誠人の奏でた音を聞かせた。
梨奈は今だにあの12月18日のシーンを思い出す。
死んでもおかしくなかった刺され方たくさん流した涙、大切な人を包み込む優しい気持ち…
いつものように台所で夕食を作る梨奈に一本の電話がなった。
画面を見ると病院からだった。
よく電話はあるので何気なく出た。
『いつもお世話になってます』
『急いで病院にきていただけますか!?意識もどったんです!』
梨奈は何も言わずがむしゃらにタクシーを拾った。