私を一つの文字であらわさないで
私は皆が思っているよりずっと複雑なの
春の終わりの隙間風に心を揺らされるの
私をたった二音で片付けないで
私はそこまで往生際はよくないから
きっと死ぬ間際に記憶にあるありったけの念仏を唱えるから
私を美しい言葉で飾らないで
私は狡猾で卑怯なの
だってここまで来るのにどれ程の策を労したか覚えてないよ
だから私にそんな美しい言葉は似合わない
嬉しいはず二音が心を穿つ
それは私の心が真っ黒でも真っ白でもないから
私を一つの文字であらわさないで
私にそれはもったいない
だけど私にそれは物足りない