「赤松さんはそのときの戦争に参加していました。」
陸は不機嫌な顔をして真琴の話しを聞いている。
「サファル国は戦争に参加せず戦争事態にも反対していました。だから日本はサファルを駐留場所に選んだ…それにもサファルは反対していました」
「駐留していたのは知っている。でも何でサファルは潰された?」
陸が疑問に思うのは当然である。日本はサファルに駐留し、サファルは日本を駐留させていた。
少なくともお互い敵対関係ではなかった。
「…それは…サファルに裏切り者がいたからです」
真琴は言葉を詰まらせた。
「裏切りじゃない…かくまっていただけだ。彼らは…優し過ぎた…」
赤松が突然口を開いた。
「それで…日本はサファルを攻撃。でも赤松さんはそれに反対し部隊から外されたんです…」
「じゃあ何で殺した?あんたが助けようとしたサファルの人間を何で殺した?」
陸は赤松を睨んだ。
「あいつは確かに優しいやつだった…でもサファルを汚そうとした…」
「サファルを汚す?」
「サファルは日本から攻撃を受けたときも無抵抗だった。絶対に人を殺さない、それがサファルの教えだ。」
赤松はぼーっと遠くを見つめた。
「殴りたければ殴れ」
赤松は陸に向き直った。
陸は何も言わずしゃがみ込んだ。
「…いや、もういい」
陸はそれだけ言うと大きくため息をついた。
しばらく沈黙が続いた後赤松が口を開いた。
「…てことは陸、辞めないってことだよな?」
「うん、まぁ…そういうことっすね」
「…そうか、…協力してくれるか?」
「何ですか?いきなり改まって」
「あの男はたぶん、そそのかされただけだ…何者かが爆弾だけを渡してテロをそそのかした。使用された爆弾がその証拠だ」
「めぼしはついてるんですか?」
「あぁ、昔は山者(サンジャ)と呼ばれた金や石炭を掘る部族だ。平安時代から存在する部族」