*たんぽぽの咲く場所2*

千夏  2008-01-03投稿
閲覧数[107] 良い投票[0] 悪い投票[0]




アイツと出会って一ヵ月が経った。



だからと言って特に変わったことはなく

アイツの周りには笑いが絶えず

アタシの周りには作り笑いが絶えなかった。



そんな時

懇親会という名の飲み会が開かれた。



チャンス。

そう思った。

酒の勢いも手伝えば

アイツに話しかけることくらいできるかもしれない。



チャンスだ。



でも

そんな思いは所詮アタシの都合のいい妄想でしかなかった。



小綺麗な居酒屋を借り切ったその会はあまりにも大規模で

アタシはアイツの姿を目で追うことすらできなかった。



数時間の一次会。

楽しそうに笑う群衆。

ほとほと作り笑いにも疲れ

早く会場を後にしようと逃げるタイミングを伺うアタシに

誰かが声を掛けた。



『これから俺らで二次会行くけどどうする?』



アイツの仲間の一人だった。

初めて話すのに

まるでいつものことのように

そいつは話し掛けた。



『行こうよ!仲良くなりたい子いっぱいいるんだよ!』



え?



よくわからない。

アタシはアイツと話がしてみたかった。

周りの連中なんて見てもいなかった。

でも

アタシは見られていた。



ふと気付くと

アタシはアイツの輪の中にいた。



調子が良くて

適当で

でも

どこか温かい

無理強いはせず

拒むこともしない。

浅く、脆く、儚い関係のようで

でも、だからこそ

深く、強い関係。

たった数分

その輪の中にいただけなのに

なぜかそんな風に思った。



最初に話しかけて来た奴は

ノリ。

底抜けに明るい声で笑う

イチコ。

凛とした自分を持った大人の

サラ。

ひたすら周りに気を使う

ヨシ。

おっとりとした

チヒロ。



そして…

アタシが最も近付きたかったアイツ。

ジュンジ。



『ずっとジュンジはチナツちゃんと話したがってたんだよ!』



え?

アイツもアタシと?



振り替えると

イチコを黙らせようとする

ジュンジがいた。





投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 千夏 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ