第1章
「出会い」
2007年12月24日
今日はすごく寒い。
風もかなり吹いていて、雪でも降りそうな寒さ。
俺は 神谷 孝文(かみや たかふみ)
東京の新宿駅前でフォークギターを弾き語りしている、21才のフリーターだ。
俺は夢がある。
ギターで皆を幸せにできる事。
その為には色んな街を歩いては俺の歌を歌いたい。
正直顔は格好良いとは言えない顔立ちをしている。
だけど俺はモテたいとか、格好良いとか、そんな事でギターはしたくない。
前の彼女。
俺のギターセンスに惚れてくれてた。
「ギターを弾いてる時が1番輝いているよ♪」
その言葉が1番嬉しかった。
だけど…
その彼女は俺を置いて天国に行ってしまった。
半年前に信号を渡ろうとしていた彼女に、
酔っ払い運転をしていたトラックが彼女に突っ込み、
救急車で運ばれ、意識は一時的に回復したが、
俺が駆け付けた10分後、
彼女の意識は二度と戻らなかった。。
最後に、彼女は言った。
「私がいなくなっても、ギターはやめないでね。
私はちゃんと聞いてるからね。」
そして僕は涙ながら、握りしめていた彼女の手の力が抜けていくのを見ていた。
そう
あの時の約束ちゃんと守ってる。
今もちゃんとギターを弾いて、最近作った曲を歌ってる。
題名は
「冬の雫」
悲しいような
切ないような
けれど優しく、
暖かく
愛する誰の為に歌いたい
そんな曲。
今日はクリスマスイブ。
歌っていても自分も微笑ましくなる。
辺りは幸せそうなカップル達が雪の中、寄り添いながら、笑顔を絶やさず歩いている。
羨ましいけど、嬉しい。
たまに俺の前に来ては、俺の歌を聞いてくれるカップル。
聞いた後は一段と寄り添って歩く。
何か幸せだな。
「ん?」
カップルばかりの街の中、向こうの方から足速に俺の方に駆け寄ってくる女の子。
そして歌っている俺に話しかけてきた。
「えっと、毎日ここで弾いてますよね?いつもアルバイトの帰り道に聞いてるんですけど、すごくいい歌ばかり歌いますよね☆」
俺はギターを止めた。
「あっ、ありがとう。」