奈央と出会えたから。<31>

麻呂  2008-01-04投稿
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手術の日、母はずっと側に居てくれた‥。


手術台に乗せられたあたしは、足をカエルの様に開かされ、看護師達が手術用の器具を、せかせかと用意していた。



まだ若干12歳の子供には、あまりにも残酷な仕打ちだった―。



『奈央ちゃん。何も怖がる事はないよ。大丈夫。奈央ちゃんが寝ている間に手術はちゃんと終わっているからね。
1から10まで数をゆっくり数えてみようか‥。』



産婦人科医が言った。



『1‥2‥3‥‥4‥‥5‥‥‥。』



段々、意識が遠くなり‥‥。



あたしは麻酔によって眠らされた―。



* * * * *


目が覚めると、側で母が添い寝をしてくれていた‥。



ずっとあたしの手を握りしめたまま―。


『お母さん‥。』



『‥奈央‥?目が覚めた?』



そこには母の優しい笑顔があった‥。



『お母さん‥。ずっと側に居てくれたの?』



『‥そうよ。母さんずっと奈央の側に居たよ。これからも、ずっと奈央の側に居るからね。
奈央は母さんにとって、一番大切な掛け替えの無い存在なんだからね。』



母はそう言って、あたしの頭を優しく撫でてくれた‥。



『お母さん‥。子守歌歌って‥。』



まるで小さい頃に戻ったみたいに、あたしは母に甘えていた‥。



『よしよし‥。いい子だね‥。奈央‥。ねんねんころりよ‥‥おころりよ‥‥‥奈央ちゃんは良い子だ‥寝んねしな‥‥‥。』





このまま時間が止まってしまえばいいのに―。





手術が終わった安堵感からか、あたしは母の子守歌を聞きながら、また眠ってしまった‥‥。





お母さん‥。





心配掛けてごめんね‥。





あたしこれから、うんと親孝行する‥。




もうお母さんを悲しませる様な事は絶対しないから‥‥。





しないから‥‥‥。

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