宝物2

ラク  2008-01-05投稿
閲覧数[231] 良い投票[0] 悪い投票[0]

しばらくすると階段を下りてくる足音が聞こえた。
「優くん、久しぶり!」
紛れもなく、その声は綾だった。綾は大人になっても子供の頃と同じ呼び方で俺を呼ぶ。明るい、響きのいい声。
「おっす、久しぶり!」
「突然どうしたの?」
「いや、ちょっと寄ってみただけ」
「な〜んだ。急に来たからびっくりしちゃった」
あの頃と同じテンポで二人の会話が続く。
「せっかくだから上がっていけば?」
「じゃあ、少しだけな」
俺は何の抵抗もなく足を踏み入れた。綾もまた、何の抵抗もなく俺を部屋に受け入れた。
よく考えてみたら、綾の部屋に入るのなんて何年ぶりだろう。懐かしい。すごく懐かしい。
それでも俺は少しも緊張しなかった。普通の女なら顔を合わすだけでも緊張するのに。
「ちょっと待ってて、何か持ってくるから」
綾は再び階段を下りていった。
それにしても綾も雰囲気変わったなぁ。昔はよく泣いてたのに。最近は元気で少し可愛くなったな。でもこの部屋は全然変わってない。今でも机の上にクマのぬいぐるみが置いてある。変わってないなぁ。
ふと、クマの横に一枚の写真が写真立てに入って飾ってあるのに気付いた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ラク 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ