「お母さんみて!」
私は、大声をあげて、だいどころまで
走った。ちょうどおかあさんが、あらいものをおわらせ、手をハンカチで、ぽんぽんとふいているところで、生きを
きらせている私を見ると不思議そうにたずねてきた。
「どうしたの?」
「お庭の花が、さいたよ。すごく
きれい、お母さんも見てごらんよ」
私は、ちょっと胸をはっていってみる。お母さんはにっこりと、笑っていった。
「ええ、見るわ」
私は、お母さんの手をぐいぐいと、ひっぱって、
庭えと、いそいだ。
*つづく*