「あと2分か……もうすこ…」
「いやぁぁぁ!!」
後ろで智恵の叫び声がした
振り向くと壁からアイツが這い出るように現れた
「ここにも来やがったか!」
「お兄ちゃん助けて!」
化け物が智恵を亜空間の中に引きずり込もうとしていた
「智恵!!」
俺は持っていた日本刀を両手で力いっぱい化け物の腕に切り込んだ
グゥオオオアアァ!!
「離れろ智恵!……なんだこいつ…」
化け物はもがきながら腕の切り口から酸のような体液を出し床を溶かした
智恵は驚きに体を震わせ言葉をなくしていた
「ヤバイ!連中にも気付かれたか」
和室に向むけてドタバタと走ってくる音が響く
俺は智恵を抱え出来るだけ隠し扉の奥へ行った
しかしこの中は細い一本道で逃げ場はない
ウオオオ…… アアアゥウゥ……
ハアァアアァ…
奴らがすぐそこまで来た
「ここまでか……」
バンッ!
隠し扉が開いた
グゥゥォォオオオオァァアア!!
異形どもが俺達を見つけ雄叫びをあげた
俺は智恵をぎゅっと抱きしめた
「来るなら来いよ…」
ハァハァハァ! ハァハァハァ!
ハアァアアァ!
異形ども四つん這いで勢いよく迫ってきた
「ぐおぉぉっ!!」
ドンッ!!
俺は腕を引っ張られ扉の外に叩きつけられた
「う…あ……うぅぅ…智…恵…」
智恵は隠し扉の奥に取り残され3体の異形どもに囲まれている
もう1体が俺に飛び掛かってきた
「ぐぅあぁっ!!」
俺は大の字に押さえ込まれた
化け物は触手を鋭利な棘に変形させ突き刺そうとするが俺は必死に抵抗した
「ぐぅぅ……あぁぁ……チク……ショ…」
対抗していると急に乗り掛かっていた化け物が頭を引っ掻き回し暴れだした
「はぁはぁ…な…なんだ……?」
キィィィァアア!! ウオオオアアア!!
化け物は悲鳴をあげながら吸い込まれる様に和室を出た
智恵を囲んでいた異形どももつられるように出ていった
俺は時計を見た
「4…時……はぁ…はぁ」
俺は極度の緊迫感から解放されその場で気を失った…