「よし、これで大丈夫だ」
「本当?智恵助かったの!?」
俺は智恵に注射をうった
「ああ、ワクチンだ。多分、化け物に囲まれたときに感染したんだろ」
ふと床を見ると赤い足跡が増えていた
「智恵、まさか赤い線から向こう側に行ったのか!?」
「う…うん…」
「そっちへ行くなと言ったろ!!」
「ごめんなさい!でもぬいぐるみが…」
赤い線から向こうはレッドゾーンと呼ばれ入れば赤い足跡を残す
これは赤い面積を増やすほど侵食度が増すようだ
「もう日没まで時間がない」
その頃、清弘の両親は大急ぎで家に戻ってきた
「駄目だ開かない!」
「どうして!?おかしいわ」
「鍵で開かないならドアを破るまでだ」
バンッ バンッ バンッ……
「クソッ!無理か…」
17時59分
「来る……」
グウゥゥ……アァァ……
家の至る所から低い唸り声が聞こえ、同時に家中にサイレンが鳴り響いた
「何が始まるんだ……」
「あと6秒…まずい!走れ智恵!!」
グゥォオォアァァオォォ!!!!
ギィィアアァアア!!!
壁や天井、様々な場所から今までの比じゃない無数の奇形どもが這いでてきた
「智恵、2階へ行け!」
「隠し扉の中だ!」
智恵を2階へ行かせ俺は地下へ向かい大量のダンボールの中に紛れ込んだ
「あと1時間と16分44秒……クソッ!」
俺は時間が過ぎるのをひたすら待った
日記によると7時20分にレッドゾーンがエリア半分にあるもの全てを抹消するようだ
俺はこれを利用した
「こんなものどうするんだろお兄ちゃん」
「あと54分……」
ガサッ ガサッ
「来やがったか……」
ハァァァ……ウゥゥ……
ガサッ……
ダンボールを跨いだ俺の目の前で足跡は止まった
「オラァァ!!!」
バゴン!!
俺は勢いよく飛び出し持っていた釘バットで殴り飛ばした
グアァウゥゥ……
「こいつ……あの時の」
その化け物は両腕が無かった
「探しに来たのか…」
「27……」