中学校に入学するのをあたしはずっと楽しみにしていたんだ―。
小学6年で妊娠、中絶した事実は、幸いにもクラスメイト達に知られる事も無く、あたしは小学校を無事卒業したの。
中学校の入学式では、逸る気持ちを抑えて見た、クラス編成の紙―。
自己紹介の順番が回ってくるのをドキドキしながら待ったっけ―。
あたしの唯一の長所は、ポジィティブな事。
そんなあたしにとって、気の合う友達を見つけるのは、さほど難しい事ではなかった。
秋田谷 ユカ―。
席順は、あたしが前でユカが後ろ。
『ごめん、ちょっとシャーペン貸してもらえないかな?!』
あたしの背中を指先でツンツンとつついてこう言ったユカ。
ニコッと笑った笑顔は、一瞬にしてあたしの緊張を解してくれたっけ。
その日からあたしにとってユカは、掛け替えのない親友―‥になる筈だった―。
* * * * * *
入学式から一カ月が過ぎた頃からか、
ユカの態度が段々おかしくなり始めた事に気付いた。
なんだか最近、あたしに対する態度がよそよそしく感じたの。
『ユカ〜。〇沢あいの漫画持ってきたよん♪担任の渋川に見つかんないよ〜にね!!』
『‥‥あ、あたしそれ、やっぱいいや。悪いね、奈央。』
『えっ?!昨日読みたいって言ってたじゃん???』
ユカ‥。何か最近元気無い‥‥。
何か悩み事でもあるのかな‥。
しかし、この日を境に、変化したユカのあたしへの態度は、これから起こる、
壮絶なイジメのプロローグに過ぎなかったー。