「ふん、小僧どもの助っ人か。 ……まぁ良いだろう。 ご苦労だったな」
ここは段英子(タン・イーズ)達の集落から数キロほど離れた場所にある鍾乳洞である。
偵察を終えて帰還した仲間に、ねぎらいの言葉をかけているこの男は鬼島義行という。
名前にふさわしからぬ悪業の数々が、男の容貌に不吉なかげりをもたらしていた。
「鬼島、どうする? ここは策を用いるべきだと思うが。 奴らも幾らかは戦いを心得ているだろう」
声の主は半面に大きな刀傷がある。 井田耕造と名乗る、田宮流居合術の使い手であった。
「無用。 こちらは数で圧倒している。 力押しが一番てっとり早い」
昂然と言い切った男は、小山の様な雄大な体躯に精気をみなぎらせている。
劉源治(りゅうげんじ)と名乗るその男は、少林派の外功を得意としている。
「同感だね。 俺たち四天王の力をお子様達に見せ付けてやろうじゃない?」
分厚い唇をだらしなく垂らしているこの男は神一久(じんかずひさ)。
ナイフ投げと暗器(隠し武器)のエキスパートであり、一堂に会した男たちの内でも抜きんでた残忍さを誇る。
「まぁ、待て。ちと考えがある」
ニヤリと陰惨な笑みを浮かべた鬼島は、仲間たちに細かい指示を与え始めた。