少女と魔物を乗せた車はターゲット(賞金首)がいる村へ向かっている。
「てゆーか、何で私が運転してんの!」
「御前が運転席の方に座ったんだろ・・・」
「御前じゃなくて萌って言うの!も・え」
遅れたが、少女の名前は萌(モエ=アスターナ)、
そして、魔物の名前は魔央(マオ=リスケル)。
「へー」
「『へー』じゃなくて、君は?」
「魔央」
「そ。魔央、か・・・いかにも魔物っぽい名前・・・」
「悪かったな」
「それより、今日やる賞金首・・・強そうだよ?」
魔央は車の窓から外を眺めながら言う。
「かまわねぇさ・・・。俺は強い」
「・・・。あ・・・着いたよ、この村だ」
その村は木がとても多く、何も無い田舎の村だ。一見平和な村に見えるが村の奥に大きな城が建っていた。
「あの城にターゲットがいるのか?」
「うん・・・。手配書によると、ね」
「へー」
「とりあえず、車から降りて村の人に話を聞いてみよ」
「おぅ」
だが、村には人っ子一人見当たらない。
「あぁっ?誰もいねぇ・・・のか?」
「まって、人がいるよ」
家の中から女性がバケツを持って出てくる。
「あ、あのぅ・・・」
井戸の前で水を汲もうとした女性に話しかける。
「はい・・・?何でしょうか・・・」
その女性は、とても細く今にも倒れそうなくらいに顔色が悪い。
「ど、どうしたんですか?顔色が・・・」
「えぇ、皆そうです」
「えっ・・・?皆って・・・」
魔央が言う。
「この村は1年前までとても平和な村でした。でも、あの人が来てからは・・・」
「スティヌ=ムーア・・・ですか?」
萌が手配書を見せながら言う。
「はい・・・。彼が着てからというもの、一ヶ月に一度取り立て人が来てお金を取っていくのです」
「ってことは、その金であの城を建てたのか」
「そぅみたい」
と、その時前方から1人の男が歩いてきた。