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ともぅ  2008-01-09投稿
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コンクリートで囲まれた無音の部屋で僕は火薬の入った鉄の筒を磨いていた。あの時の事が忘れられないまま…。
存在の無い自分。名前のない自分…。僕はNo.0623。
人に認知されることを許されず、存在することを許されない。ただただ指定された人間の存在を消していくだけ。10年、20年先に邪魔になる人間を選んで。
なぜ分かるのだろう、そんな事を考えてもしかたがない。時折響く、メールの通りに。
次で18番目だ。
雪の音が聞こえる夕暮れ、僕は赤い服に白い髭を携えクマのぬいぐるみを抱いていた。ブランコで遊ぶかわいい女の子。無邪気な笑顔がかわいい女の子。
僕はメリークリスマスとクマのぬいぐるみを渡した。
『ありがとぉ』
嬉しそうにお家に帰る女の子。家には幸せそうな家族が出迎え、僕に軽く会釈をする。
お父さんはまだ若かった。しかし…しかし確実に確認した顔だった。
僕はしばらくしてボタンを押す。そして背を向け歩き出す。雪の音を掻き消す、轟音とともに。
メール音が鳴り響く。1億円。どこかもわからない僕の口座に振り込まれた知らせだった。
しばらく休もうか…。
2週間後、僕は中東にいた。無機質な鉄の筒を持って。



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