あたしへのイジメは日に日にエスカレートしていったー。
朝、自分の靴箱を覗くと靴がないー。
探した挙句、ボロボロに引き裂かれて、ゴミ箱から見つかった。
体育の授業が終わって、体操着から制服に着替えようとすれば制服が無いー。
探した挙句、ボロボロに引き裂かれて、トイレの便器の中から見つかった。
移動教室へ教科書を持って行く時、教科書が無いー。
探した挙句、給食に出た牛乳に浸されてパリパリにくっついた教科書が、焼却炉の中から見つかった。
酷い‥。
酷すぎる‥‥。
あたしがこのクラスメイト達に、これだけの仕打ちを受ける程、一体何をしたと言うの?!
何よりもあたしが一番ショックを受けたのは、親友だと思っていたユカの裏切りだったー。
近頃ユカは、同じクラスメイトのサチヨと連み始めていたー。
『ねぇ‥ユカ。奈央と付き合うのやめなよ。あんたまでイジめられるよ。あのコ今、格好の標的だから、近付かない方がいいって。』
『そうだね。別にあたし、あのコとそんなに親しくしてる訳じゃないよ。席が前後で近かったから、仕方なく話してただけ。』
サチヨの言葉にユカは涼しい顔でこう答えた。
“シカタナクハナシテタダケ“
グサッと来た一言だったー。
ユカは、自分の席に一人で座っているあたしにわざと聞こえる様にこう言ったんだー。
* * * * * *
その日の帰り道、
あたしは何時になく足取りが重く感じたー。
クラスメイトにイジメられる様になってから毎日、家に帰る時の足取りだけは軽かったのにー。
何故かこの日は違ったー。
もう何も信じたくないー。
もう誰も信じたくないー。
ユカ‥。あんただけはあたしの味方になってくれると信じたかったー。
そうだよね‥。
人間なんてそんなもんよね‥。
自分が一番かわいいんだからサ‥。
自分を犠牲にしてまで人に情を掛ける事が出来る人って‥。
世界中で一体何人いるだろうかー。
少なくともあたしは、大切な人を裏切ってまで自分を良く見せようとは思わない‥。
そんな卑怯な人間にはなりたくない‥。
そう思った‥‥。