奈央と出会えたから。<36>

麻呂  2008-01-10投稿
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クラスメイト全員からシカトされ続けたあたしー。


一学期も終わりに近付いた頃には、それが暗黙の了解になっていたー。


それでも休まず、学校だけは通っていたあたしー。


それは母さんに心配を掛けたくなかったからー。


ユカもあたし以外に親しい友人が沢山出来た様で、あたしがユカの視界に入る事は二度とないと思っていたー。



そんなある日の放課後ー。



忘れ物を取りに教室へ戻ったあたしが耳にしたのは、ユカとサチヨの会話だったー。


『だからユカ、それは奈央の仕業だよ。』


サチヨが言った。


『やっぱ奈央しかいないよね?!
あのコの家って母子家庭じゃん?!
十分ありえるよね?!』


サチヨの言葉に続けて、ユカが追い討ちを掛ける様に続けるー。



話の流れからして事の察しは付いた。



何でも、ユカの財布が無くなったと言うのだー。



『財布盗ったのあたしじゃないよ。』



あたしは思わずこう言った。



クラスメイト全員からシカトされていたので、二人にとってあたしの声はただの雑音と見なされただろうー。



『ちょっと聞いてる?!ユカ?!
財布盗ったのあたしじゃない。』



あたしは少し声を荒げて言った。



『うるさいなぁ‥。なんか近くで野良犬の遠吠えがするんだけど‥。』



ユカが言った。



『だから、財布を盗ったのあたしじゃないから。』



視線を合わせようとしないユカに、あたしは腹が立った。



『育ちが悪いと嫌よね〜。人様の物を盗むなんて立派な犯罪よね。』



ユカがこう続ける。


あたしは自分の体が小刻みに震えているのが分かったー。

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