あたしは耐えていたー。
さっきから体中が小刻みに震えているのが分かったー。
それ程までにあたしの怒りは頂点に達していたんだー。
そんなあたしの心情を読める訳が無く、ユカは益々エキサイトしてこう言った。
『さっきから黙ってないで早く土下座したらどうなの？！
母親に悪いと思わないの？！あんたの母親さぁ、体売って金稼いでるって噂じゃん。遂に体売っても追いつかなくなったのかなぁ？！
そうだ！！これからは親子で体売ったら？！』
ーあたしの頭の中が真っ白になった瞬間だった。ー
ー次の瞬間、あたしは自分でも信じられない位の大声で怒りを露わにしたー。
『ふざけんじゃねぇよ！！バカヤロー！！あたしの母親が何だってぇ？！
もういっぺん言ってみろ！！』
そう言ったと同時にあたしは、ユカの胸ぐらを掴んでいたー。
『な、何すんのよ‥‥。』
ユカは思いもよらないあたしの言葉に、驚いた様だったー。
サチヨは側で、ただ怯えた目であたしを見ていたー。
『てめぇらにあたしの母さんの事をとやかく言われる筋合いはねぇんだよ！！
何が体売って金稼いでるだぁ？！
ふざけんな！！
あたしが小６で妊娠、中絶したのも事実だよ！！あたしの事は何言っても構わねぇよ！！だけどな、母さんの事を少しでも悪く言ったら、あたしが承知しねえからな！！』
あたしの怒りは頂点に達し、一気に爆発したー。
あたしにとって、こんな暴言を吐いたのは、生まれて初めての事だった。
ユカは鋭い目つきであたしをじ〜っと睨みつけていたー。
少しの沈黙の後、
ユカが先に口を開いたー。
『奈央‥。あんたの妊娠、中絶の話をバラしたのはこのあたしだよ。』
ユカは逸らし掛けた視線をまた元に戻し、あたしを睨みつけてこう付け加えたー。
『あたしのお母さんは、あんたが中絶した病院の看護師なんだよ！！』
そう‥。事の発端の全てはユカが蒔いた種だったんだー。
ユカの口からその言葉を聞いた時、
あたしのユカに対する嫌悪感は更に強まり、裏切られたという思いがまた蘇って来たー。
やがてそれは激情へと変化して行き、
あたしの心まで壊していったー。
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