「どうしたの?」
名も知らない誰かが
泣いてる僕を気遣ってる
・・・・・・・・・
シーラの森の奥深くで少年が眠っている。
彼は人離れした容姿で、
人間からは忌み嫌われる
存在でもあった。
そんな彼に一人の少女が
近づいた。
彼が怪我をしていたのが
心配だったんだろう、
手当をしようと近づいた
「・・・!?」
誰かが触れる感触と、怪我での痛みで、彼は目が覚めた。
「あんた・・・誰だ」
少年が痛みをたえながら起き上がった。
「・・・あんたはやめてよ、それより・・・ねぇ、この怪我どうしたの?」
「・・・・・・・」
長い沈黙が流れた。
「なんでもない・・・」
話しを切り出したのは彼だった、
「それより、この姿・・・怖くないのか・・・?」
恐る恐る聞く彼の態度は人間くさかった。
「・・・なんで?別に・・怖くなんかないよ?」
少女は微笑みながら言った。
「・・・そっ・・か」
人間と話す事も久々だった彼は怖かった、
人間と話すことなんて辛い事しか残らないと思っていたから。
「名前は?」
少女が言った。
「・・・カロン」
俯きながら彼は言った。
木々が揺れた
始まりを告げる子守唄のように。