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10年前の、桜が舞っていた四月。私は、幼い高校生で、彼は反抗期真っ盛りの友達と共に街を駆け回っていた。
私達は、同級生だった。
私の名前は、永崎ゆき。今は、夫の賢吾と娘の佐奈と3人で喫茶店を営んでいる。
私は高校の時に、1人の少年に恋をした。彼は、いづれ夫となる賢吾と仲が良く、学校の時には、よく2人で授業をサボッて、屋上で遊んでいた。
彼の名前は、ひろと。
ひろとは、街のバンドの中でも腕の立つギタリストで、ライブに出た時には様々なレコード会社にスカウトされても頑に拒否する様な、誰より自由でいたがる…コーヒーが好きな人だった。
そんな彼等と私が出会ったのは、高校?年の夏。当時、私は仲良しの友人達とジャズバンド同好会に所属していて、アコースティックギターを弾いていた。