「え?俺が楽しそうにしてたら何か問題でもあるん?」
「有り過ぎやろ。バカ正直で鈍感で…。」
「それを問題って言うなや。で、なんなんや。」
「あのな…」
突然倉庫の扉が開いた。
「て〜んちょ〜、ここでアホが二人油売ってますよ〜。」と亜紀の声。
「油なんか売ってるかい!品出しの準備じゃ、ボケ。店長は休みじゃ、アホ!」と桜木。
「コソコソ、何の話しとん?ちょっとーそろそろ混んでくる時間やしレジ入って、サッカーしてよ。」
亜紀の訴えに敢え無く桜木との密談を中止して、レジに入った。桜木は亜紀のレジに、
僕は奈緒のレジに。と桜木が勝手に決めた。
約1時間後、店はガランとしていた。奈緒が口を開いた。
「優木くん、メル友と楽しくやってる?」
「え、あぁ、まぁ、そこそこな。」桜木の言葉が引っかかり、曖昧な返事になった。
「会ったりとかするん?」
「いや、それはないんちゃう?神戸と新潟やで、遠いにも程があるやん?」
「そうやんね…。」
「……。」
「あの…」貴更と奈緒が同時に話し始めた。
「あ、すまん、何?かな…」
「ううん、優木くんこそ…。」
「……。」
「奈緒ちゃんから、言ってよ。」
「今日、上がり、18時でしょ?私もやねんけど、今日は車で来てなくて。送って欲しいなぁって。」
「桜木の方がいっつも…あ、あいつ、今日はラストまでか。」
「うん、だから、どうかなって。」
「別にええけど…。」
「遠回りになるけど大丈夫?」
「そんなん、別に10キロも20キロもある訳じゃないし、全然。」
「う…ん、ありがと。じゃぁ、お願いね。」
「じゃぁ、俺、品出ししてくるわ、途中やったし、もう、大丈夫やろ?」
「うん。あ、優木くんの話って…」
貴更は聞こえないフリをしてレジを離れて倉庫に向かった。
「ちょっとー、あんた、どこ行くん!」
慌てて振り返ると桜木が亜紀に呼び止められていた。
「品出しじゃー、さっきお前に邪魔されたからなー、な?優木。」
「ホンマに品出しかー!!怪しいもんやわ、な?奈緒。」
そんな声を背中に受けながら貴更と桜木は再び倉庫に入っていった。