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ガラッ―ー‐。
教室のドアが開き、担任の渋川が血相を変えて入って来たー。
『木下 奈央。ちょっと職員室へ来なさい。』
そう言った渋川の横には、ユカがほくそ笑んで立っていた。
『はい。』
あたしは素直に職員室へ向かったー。
何故、職員室へ呼ばれたのかはおおよその見当はついていたー。
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『木下‥。正直に話したまえ。秋田谷から事情は聞いた。
もしお前が心から反省して秋田谷に詫びて、もう二度とこういった真似はしないと約束するのであれば、私はお前の担任としてお前を信じ、今回は私の顔に免じて、秋田谷にはこれで勘弁してもらう。だが、お前がここで正直に自分のした事を認めなければ、
私はお前の母親に連絡を取って、学校に来てもらう。
さぁ、どうする?!木下‥。どちらを選択するのかはお前の自由だ。』
渋川はあたしにこう言いながら、ずり落ちそうな銀縁の眼鏡を指で直した。
あたしは渋川の言葉に腹が立ったー。
それじゃあ、ハナっからあたしが犯人扱いじゃんー。
『あたしはやってません。』
渋川の問いに、あたしはたった一言だけ返してやったー。