俊也とのことを知りつつも一也はプロポーズしてきてくれ、俊也には一也とは別れて1人になって欲しいとの告白があったクリスマスイブ・・。
数日たち、明日は年も明けるという大晦日になった今日まで・・私は二人には連絡もとらず、ひたすら考えていた。
『私は、どぉすればイイのだろう?私の気持ちは・・どちらなんだろう・・。』
冷静な私が・・一也との結婚を考える!
恋してる私が・・俊也とのことを考える!
そんな堂々巡りをしながら、大晦日の街を歩いていた。
そんなとき、ふいに後ろから私に1人の女の人が声をかけてきた。
「あの・・奈緒さんですよね?」
誰なんだろう?振り向いて顔をみたものの、見覚えが全然ない女の人だった。
その女の人が次に発した言葉に耳を疑うと共に・・お腹のあたりに嫌な感触が感じられた・・。
「私・・一也さんのことを愛してます・・私から、あの人をとらないで・・」
彼女の手には、多分・・ナイフが・・そのナイフの刃先は・・多分・・私の・・。
そこまで考えると、私の記憶はその先からプツリと消えていった。
次に目を開けたときには、よくドラマであるように、白い天井が私の目に飛び込んできた。
私は・・刺されたのだ。
一也の浮気か本気かわからないが、その相手に刺され、幸いにも刺された箇所と意外に浅かった状態で、なんとか、こうして目を無事開けることが出来たのだ。
私は、変になったのか?急に笑いが込み上げてきた。
私しかいない病室で、腕には点滴がささり、口には酸素マスクみたいなものをつけながらも、なぜか意外にも大きな声をたてて、私は笑った!
そして一言「バカみたい」と呟き・・目からは大粒のなにかが・・あふれてきた。
季節は、あの寒かった頃から、早春と呼ばれる頃に移り変わっていった。
結局、刺された傷も大したことなく、二週間ぐらい入院したあと、誰にも連絡せず、仕事をやめて、携帯番号もかえて、1人住んでいマンションを引き払い・・私は故郷へと帰っていった。