昔々、春の日の朝の事。
男はいつもの様に漁をする為に海岸へと向かいました。
すると海岸には黒布に包まれた赤ちゃんが流れ着いていました。
男は急いで赤ちゃんの元へ駆け寄りましたが、赤ちゃんは元気だったので男は安心しました。
男はこんな所に野晒しにしておいたら危ないと想い、赤ん坊を抱き抱え漁を取りやめて一旦家へと戻りました。
家に着くと妻は男が連れて来た赤ちゃんに驚きましたが、男はこれまでの経緯を説明しました。
「俺達には子供がいないしコイツには親がいない。丁度良いじゃないか。」
「そうね…見殺しになんて出来ないし、かわいそうだわ…」
二人はこの赤ちゃんを育てる事に決めました。
そしてその時、赤ちゃんの黒い布がポトリと落ちました。
「あらまぁ…」
二人はびっくりしました。
何故なら…赤ちゃん、この男の子の背中には鳥の様な黒い翼が生えていたからです。
「これは…一体どいゆう事なんだ!?」
「神様なの…?
翼が生えているなんて!?」
*
その後のストーリーは
黒い天使の赤ん坊はメフィア(アイラ語で救世主という意味とのこと)と名付けられすくすくと成長し人々を苦しめている白いドラゴンを退治する為に村を出発するというなんともベタなストーリーだった。
『なんだよ…桃太郎のパクリじゃん。』
龍華はメフィアが旅に出る場面のページで絵本を閉じた。
こんなベタ過ぎる話をとても最後まで読む気にはなれなかったようだ。
「龍華、力也部屋に行くぞ。」
「「はーい……」」
龍華と力也は疲れ気味な声で返事をし。
オロマの後へと続いた。