去る11月22日、我が月が誇った有能な外務大臣レイチュル・ケネディが暗殺された。交渉の席すら与えない。これが同胞への仕打ちか?否、彼の浮浪者はレイチュルを家畜として見ていたのだ。だから、殺した」
一度途切れ、エドワードは目元を拭った。
「もはや、地球の同胞達は我々を仲間とみなしていない。地球が我々に交渉の場を与えないのならば、我々には交渉を強制する力は無い」
目を落とし、もう一度カメラを睨み付けたエドワードの目には虎のような残忍さが溢れていた。
「1月1日12時25分、月は正式に、地球の全エネルギー資源、70%の権利を求めて地球上の全国家にたいする宣戦を布告する」
ブリッジ内が凍り付いた。
そう東京のこれは……
「25分前の全世界への攻撃は奇襲攻撃ではない」
自分を見透かしたようにエドワードは遮った。
「我々は一ヶ月以上も前に先制奇襲攻撃を受けているのだから……」
レイチュル・ケネディ……
「なんだ!?これは」
沈黙は一人の通信兵によって破られた。
メイン画面に映された全方位レーダーは数えきれない艦船の群れを示していた。
「上?」