aki-第3章-?

1003  2008-01-13投稿
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それからあきは私をギュッと抱き締めてから、唇が微かにただ触れるだけのキスをした。
そして一度私の顔を見てから、次は左の頬に軽くキスをした。
私を触れる事に慣れた手で、私の事を確かめるように頭を撫でた。

「絶対離さない。」
今度はさっきよりも強くあきは私を抱き締めた。
そして。
さっきよりも長く激しくキスをした。


触れた唇が離れた瞬間。


私の目から、涙がポロポロとこぼれ落ちていた。


あきが驚いて、それから困った様な顔をした。



この『涙』の意味は、私の中の『答え』だった。



もう何も障害がなく、大好きな人とこれからずっと一緒にいれる喜びから?


ずっと後ろめたかったものが、消え去ってくれて心から安堵したから?


大好きな人の、確かな愛情を確信できた嬉しさから?










全部、違う。


きっともっとあきには相応しい人がいる。

きっともっとあきには幸せになれる力がある。



それに。

私はたくさんあなたを傷つけたはず。

構わないよ、と笑っていても、何処かで無理をさせていたはず。

そして一緒にいても、何処かでそれが原因となりほころび始めるはず。

そうならなくても、あなたは何処かで一人で苦しむはず。



そんなあなたを見たくないんです。

あなたには、絶対に幸せになって欲しいんです。




だから。




残念だけど。
私にはあなたを幸せに出来るだけの力を持ってはいませんでした。





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