父がいなくなった。
高一の時に父が突然いなくなった。
母と喧嘩の毎日で、私と兄は選択を迫られた。
「パパかママ、どっちについてくる?」
母のその言葉に私の頭の中は今までのことが駆け巡る。
毎晩飲み歩いて酔って帰る母と、仕事から帰ってご飯を作ってくれる父。
どっちについていったらいいかなんて、小学生でもわかる。
でも私は…
母を選んだ。理由は簡単。私がいないと母はダメになると思ったから。
その時の父の顔を今でも忘れない…。裏切られた絶望感に染まった顔。
その翌日、父がいなくなった。一通の手紙を残して。
『子供にも気にかけてもらえない寂しい人生でした』
あの時、嘘でもいいから「父についていく」と言っていたら、今頃父は幸せだっただろうか。
終