アーモンドの帽子

ノン子  2008-01-13投稿
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「アーモンド、起きなよ」

グリットはアーモンドの頬を軽く叩いた。
アーモンドの部屋に張り詰めた音が響く。

「もうすぐ村長が来られる」
「うん…」

寝ぼけた声で返事をしグリットの方へ手を伸ばす。
グリットはその手を受け取り柔らかく握った。

「おはよう」

アーモンドは体を起こして大きく伸びをした。
ぼやけた視線をグリットに向けた。

「まだ寝たりないね」
「仕方ないよ、昨日遅かったんだもん」

グリットは苦笑いしながらアーモンドの服を棚から取り出した。
アーモンドは布団から這い出てカップに注いである紅茶を口に含んだ。
ミルクティーだ。

「なんだか、新しい?」
「メルボのラストムーン」
「へ、へぇ」

アーモンドはよく分かっていない様な返事をして服を脱いだ。
それから洗面台へ行き冷水で顔をゆすいだ。

「お湯を出しなよ」

グリットは薄い生地のリュックを背負いながらアーモンドに言った。
アーモンドは顔を拭いてグリットを見た。

「時間と水の無駄だ」
「ふふ、アーモンドって意外に節約家」

グリットはドアノブに手を掛けてクスリと笑った。

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